2025.02.17

子牛の輸液療法について2(病態の評価)

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初めに

前章では、子牛の下痢の病態について書きましたが、この章では実際の病態の評価方法について説明していこうと思います。前章で挙げた病態は、脱水、電解質異常、代謝性アシドーシスでした。今回説明する評価方法は上記3つに関して現場で行うことのできる方法です。

脱水の評価

眼球陥没

眼瞼と眼球の離れ具合を確認する。

皮膚つまみ法

脱水が起きると皮膚の弾力性が低下します。そのため皮膚をつまむと元の戻るまでの時間が長くなります。2秒以内に戻れば正常です。

末梢皮膚温度の低下

脱水が起こると血液の循環が滞ります。そのため四肢にまで血液が回らなくなり、末梢の皮膚の温度が低下してしまいます。

電解質異常の評価

吸乳反射の低下

吸乳反射は子牛が持つ反射行動であり、哺乳ボトルや指を口に当てると吸い始めます。この吸乳反射の低下は脳脊髄液の重炭酸濃度、塩基過剰、血液pHの低下と相関が認められていますので、反射の有無を評価しましょう。

代謝性アシドーシスの評価

脱水の有無にかかわらず、D-乳酸が代謝性アシドーシスの原因です。

中枢神経抑制はD-乳酸の増加によるD-乳酸の基準は2mmol/Lとされており、神経症状などの異常な症状を示す子牛の乳酸は10~11mmol/Lと約4倍の濃度となります。11.0±3.6では子牛は起立不能を示し、比較的健康な子牛では、2.4±2.1となっていました。

D-乳酸は運動失調、起立困難、眼瞼反射の抑制に関係しますので、これらの評価もしていけると良いと思います。

以上が現場で行うことのできる評価方法です。これらを正確に評価していくことで、実際に輸液の内容を考えていくことができます。日々の子牛の観察において少しでも参考にしていただけると良いと思います。次章では、実際の輸液の選択について説明していきます。

北海道紋別郡湧別町芭露450-3

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