輸液というと静脈に留置を入れることが一番イメージがしやすいと思いますが、経口で与える電解質も輸液療法の一つです。実際に自家治療を行っていく上で正しい選択ができるようこの章では説明していきます。
今回参考にした文献の著者が実際に使用しているプロトコルの簡易版についてです。
子牛が下痢を引き起こしている場合、重炭酸により体内のアシドーシスをコントロールする必要があります。子牛の場合8日未満の子牛のアシドーシスは重症化しないことが多く治療においても日齢を考える必要があります。
重炭酸イオン必要量=体重㎏×塩基欠乏mEq/L×0.5~0.6L/Kg
これが必要量の計算になりますが、下痢が継続している場合係数を1にすることもあります。下の図を参考にしてください。
30~60分以内に排尿や沈鬱、脱水の改善、最も注意してほしいのが吸乳反射の改善です。吸乳反射が回復しない場合は敗血症、臍炎、肺炎等を考える必要があります。
まずは、子牛の起立状態や状態を見てみましょう。起立可能か、また衰弱した様子はないかどうかです。次に前章で説明した、眼球陥没の程度や皮膚つまみテスト(図ではテントと表記)、吸乳反射等を確認してください。
静脈内投与を行う場合
補液量=脱水量%×体重Kg
上記の量を最大で80mL/kg/hで投与するが30~50がよく用いられます。(50kg の子牛に対して1時間当たり1.5L~2.5Lの速度)
下の図のフローと基準値を参考にしてみてください。
以上が実際に治療を行っていく上で参考にしてほしいことです。はじめの簡易的なプロトコルを基準にし、下の表を参考にしていただけたら良いと思います。経口電解質も輸液療法の一つであり、静脈投与はあくまでも経口での輸液ができない場合、自らミルクが飲めるまでの回復を促すものです。この治療プロトコルを参考により良い子牛の管理、下痢の管理の助けとなれれば幸いです。次の章では、輸液時の注意点を記載しますので、必ず読んでいただきたいです。