2021.11.29

子牛における初乳中免疫グロブリン(IgG)獲得のための吸収効率(AEA)の測定とその要因

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皆さん、初めまして新入社員の溝口です。今回私が北海道獣医師会で発表させて頂いた内容についてお話させて頂きたいと思います。

免疫グロブリン(以下IgGとします)という言葉はお聞きになったことはありますか?これは病原体から身を守るために重要なもので、子牛は生まれた時にはなんとこれを全然持っていません。では、どうやってこのIgGを獲得するかというと、親牛が子牛を産んで1日目に出す’初乳’を子牛が飲むことです。この‘初乳’には、その後に親牛が出していく牛乳とは違いIgGを非常に多く含んでいます。生まれてきた子牛を病気から守るための機能です。
子牛が生まれたら農場ではこの初乳を出生後24時間以内に飲ませるという事をしていますが、同じように飲ませていても病気にかかったり、体調が変化したりするのはどういう違いなのだろう、というところに着目しました。それが「吸収効率」という部分で、どのような要素が影響しているのか、そして子牛にしっかりIgGを獲得してもらうためにはどうすればいいの?という事を考えてみました。

結果を見てみると吸収効率に大きく影響を与えているのは「給与時間」でした。IgGというのは子牛の腸で吸収されるのですが、吸収するにはサイズが大きいのです。子牛は出生から24時間まではこのサイズが大きいものでも吸収出来る能力をもっているため、24時間以内に飲ませるというのはここからきているのですが、一番良いのは2回与えるうち、1回目を6時間以内に与える事でした。6時間を過ぎると一気に吸収できる能力が下がってしまうので、それまでに1度は初乳を与えておきたい、ということです。
この吸収効率に着目しているのは最終的な目標があり、それを達成するための一つのチェックする項目として見てみました。私たちが目指しているのは子牛の血中IgG濃度が25g/Lを超えることです。今まで基準とされてきたのは10g/Lでしたが、これは約30年前の基準で、今は大きく変わっています。

私たちがいつもお世話になっているお客様の中には少しずつ和牛の生産に力を入れ始めたところがいらっしゃるのが現状で、和牛は他の種類と比べて体調を崩しやすいため、それを少しでも防ぐために何か出来ないかと思ったときに、一番最初の免疫力の部分をしっかり見てみようという事になりました。
今回この発表のために、IgGの測定を始めましたが、測定をやり始めの頃はあまりよくなかった農場でも今はとても良い給与が出来るようになってきているなど、見直し・やり方の変更によって子牛がしっかりIgGを獲得できている農場が増えてきています。今後も定期的にチェックして元気な子牛が育つお手伝いを出来ればいいなと思っています。

最後に発表したスライド内容も貼っておきますのでよかったら見てみて下さい。
以上、溝口でした!

発表会3pptx – コピー

北海道紋別郡湧別町芭露450-3

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