臨床現場では、リピートブリーダー牛(3回以上の授精歴があり、子宮所見に異常を認めない牛と定義する。以下RBC)をどう妊娠させるかが重要な業務の一つですが、その一因として潜在性子宮内膜炎(SCE)があります。
SCEはエコーでの診断が困難ですので、弊社では子宮内膜細胞診により分葉核好中球(PMN)の割合を算出しSCEを診断・治療してきました。そして次なる課題として、PMN割合に基づいてさらに重篤度を分類し、最適な治療方針の決定や正確な予後判断を行いたいと考えていました。スライド
そこで、本調査ではホルスタイン種のRBC312頭のその後の受胎性について子宮内膜細胞診の実施日から受胎までの日数について、COX回帰分析を行い、PMN割合、分娩後日数、産次数ならびに子宮への処置との関連性を検討しました。
その結果0%以上6%未満の領域ではPMN割合の上昇によりその後の受胎性が低下しましたが、6%以上の区分ではそうではありませんでした。これはPMN割合が6%以上の供試頭数が比較的少なかったことが要因として考えられます。今後はPMN割合のより高値の領域での受胎性の評価ができるよう、さらに例数を重ねてその関連性を明らかにすることを目標とします。