2024.11.29

子牛のIgG測定③~第二四半期顧客全体評価~

  • facebook
  • twitter

皆さま

新人の大澤です。

前回に引き続き、2024年第二四半期の子牛のIgGの測定結果を報告していきたいと思います。

今回は、2024年7月からの9月(第二四半期)の顧客全体の評価についてお届けします。
3か月で134頭の子牛のIgGを評価しました。

下記に示したグラフは全体:2024年4月~9月、①:同年4月~6月(第一四半期)、②:同年7月~9月(第二四半期)について示しています。第二四半期の弊社顧客全体の平均IgG値は27.1g/Lで最大値は64.6g/L、最小値は0.0g/l、中央値は25.0g/Lと推移しました。

第二四半期の成績が第一四半期より低下していた要因として夏場のヒートストレスが関与しているのではないかと考えています。

また、今回、品種別のIgGの結果も整理しましたが、ホルスタイン種、F1、和牛で、大きく分布が異なることはありませんでした。(表なし)

ここで、なぜ初乳の摂取が大事なのでしょうか?

子牛は生まれた当初、免疫機能はほとんどなく、初乳による移行抗体に依存しています。

移行抗体の成功メリットととして、

  • 子牛の疾病発生率の低下
  • 初産分娩月齢の低下
  • 増体率、初産・2産乳量の向上
  • 初産期の淘汰率の低下

などが挙げられます。

これらは疾病の発生が減少することで、発育に重要な時期に成長を促すための栄養素が節約されることに起因すると考えられます。

また、初乳の摂取の遅れ・制限は子牛の腸内細菌叢の多様性の低下をまねきます。結果とし、消化効率の低下は短鎖脂肪酸(SCFA)の産生を低下させ、腸管上皮のターンオーバーの遅延(バリア機能の低下)をまねきます。また、SCFAは免疫(B細胞、制御性T細胞)の誘導を促進しており、SCFAの産生低下は免疫系の発達を遅らせてしまうことが論文上で考察されていました。

これから寒くなります。初乳摂取による移行抗体の獲得を成功させ、子牛たちを元気に発育させましょう。

今後も、IgGの検査、疫学評価を行っていく中で、関連情報の発信をしていきたいです。

参考文献

Daily Science 2024 L. R. Cangiano et.al Developmental adaptations of immune function in calves and the influence of the intestinal microbiota in health and disease

北海道紋別郡湧別町芭露450-3

pagetop