2月10~12日、大分別府で開催された平成29年度日本獣医師会獣医学術学会年次大会(大分)に参加してきました。牛の蹄病に関する教育講演「趾皮膚炎に関連した難治性蹄病を考える」の中で、現場での症例報告として日々私たちが向き合っているNHCL(Non-healing Claw Lesion)を紹介してきました。
この病気は2011年頃から海外で報告され始めた新しい蹄の病気で、趾皮膚炎の原因菌であるTreponemaが真皮に感染拡大したものと考えられています。私たちも最近3年くらいの中でその発生の増加を感じており、最も治すことが難しい蹄病です。
2016年に経験した29例では83%が治癒となり、治療回数は中央値で3回、治療期間は中央値17日間でした。その後の長期的観察において半分が治療終了後317日までに淘汰されていました。
この蹄病のリスク因子は、①牛群の趾皮膚炎の流行、②跛行牛の治療の問題(開始の遅れ、治療方法)、③過削蹄、④過剰な摩耗を起こす環境・管理、だと考えられています。農場でのフットケアの見直しを私たちに訴える病気なのかもしれません。”Non-healing”ではなく”Normal-healing”にしたい!(Karl Burigi氏とのコミュニケーションから)。