皆様
こんにちは、大澤です
本日は、2024年8月にアクセプトされたJDS Communications®より Zelmar Rodriguez et.al Epidemiological and clinical aspects of highly pathogenic avian influenza H5N1 in dairy cattle(乳牛における高病原性鳥インフルエンザH5N1
の疫学的および臨床的側面)の中から最新の高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)に関する情報をお伝えします。
私が読んで感じた要点をお伝えします。
この牛のHPAIは人にも感染するリスクがあり、ワンヘルス的考え方必要だと筆者がまとめていました。(ワンヘルスとは「人の健康」「動物の健康」「環境の健全性」を一つの健康と捉え、一体的に守っていくという考え方)
では、実際どのようなことが現場で起こっているのでしょうか。
現場で行われている対策は、移動の制限とバルクスクリーニングによる摘発がおこなわれています。
また、感染牛は症状を示すもの(主に乳量の減少、異常乳)と無症状のものに分けられます。
無症状の個体で今回、乳中にもウイルスを含んでおり、排出されるウイルス量は症状のある個体より多いというデータがでました。また、感染時期によっては、ウイルスの排出がない時期(潜伏期)があり、検査でも発見できない場合があり、実際、牛が移動させてしまうケースもありました。表からも、症例数は増えている(=摘発できている)ように感じます。
表:2024年3月25日から8月13日までに、米国(左)および高罹患州(右:コロラド州、アイダホ州、ミシガン州、テキサス州)の酪農牛群の週ごとに報告されたHPAI H5N1の累積確認症例(陽性牛群)アメリカ全体で症例数は増えており、コロラド州でも症例頭数が増えていたことがわかります
感染牛に特徴はあるのでしょうか。
APHIS (2024b) の調査によると、「臨床徴候を示した牛の割合は、初産牛で 4%、第 2 産牛で 7%、第 3 産牛以上で 9%であった。さらに、乾乳牛の 5% に臨床徴候が見られたが、離乳前および泌乳していない未経産牛では臨床徴候は検出されなかった。」と報告がありました。また、1歳齢で感染実験(n=4)では口腔咽頭、眼球、唾液のぬぐい液からウイルスRNAが検出された報告があり、一過性の鼻汁が唯一見られた臨床症状でした。
いま、アメリカで検査対象となる牛は臨床症状の有無によって検査が行われており、対象から漏れている牛がいるのかな感じました。
表:防疫対策の3本の柱(文書より図へ)
感染症の予防対策ではこの3つの要素が基本となるようです
これから、もし北海道に牛HPAIが入ってきてたら、身近に野生動物が多いため、感染リスクが高いのではと感じています。日本の周辺国では、様々な伝染病が流行しています(アフリカ豚熱、口蹄疫など)。
農場の防疫対策について考えるきっかけになれば幸いです。