初投稿となります。今年より入社いたしました永井佑季です。今回自分は牛のバンチングと呼ばれる行動について書かせていただきます。
短い夏が終わり涼しい日々が続いておりますが、農家の方々は暑い夏の時期に牛が牛舎や放牧地で固まるように集まって行動している様子を見たことがあると思います。これは「バンチング」と呼ばれ、牛群を管理していく上で一つの問題です。スペースに無駄ができてしまい、過密によるストレス、飼槽へ向かう回数が減ってしまう等のことにより生産効率が下がってしまうことが考えられます。
↑牛が一か所に集まっている様子
バンチングは様々なストレスが原因で起こります。以下に4種類のストレスとその特徴を挙げます。
1:暑熱ストレス
気温やTHI(温湿度指数)が上昇すると牛が集まる。気温が下がると牛が分散する。
2:光の回避
特に暑い日に日陰に集まっている。日没後には集まっていない。また日没後でも、照明のくらい場所で集まっている。
3:新鮮な空気の不足
空気がしっかりと換気されていない。空気の流れが良い場所に集まっている。
4:ハエによる問題
頭を中央に、尻尾を外側に向けて集まっている。ガッティング反応(尻尾を挙げて走る)行動を示す。スラリー、糞尿側に牛がいない。
1:暑熱ストレス
ファンや水をかけるソーカ―等冷却のための設備を整えることで暑熱ストレスを軽減することができます。新たに取り付けるだけではなく、例えば汚れているファンは最大40%風量が損なわれることもあるので、清掃を行うことでも改善が図れます。
2:光の回避
牛舎内の日差しが入る側に以下のような遮光カーテンを付ける。また、人工照明を清掃することで均等に光が当たるようにする。光の回避は他の暑熱ストレスや換気不足によるストレスに対する反応です。他のストレス要因の改善と併用することでさらに効果が得られます。
↑遮光カーテンの例
3:新鮮な空気の不足
吸気、排気を調節し新鮮な空気が牛舎内に回るようにする。スモークを用いて空気が滞留している部分を確認し改善できるとより良いと思います。
4:ハエが気になる
ハエの個体数をコントロールするため、繁殖場所である濡れてしまい、腐敗した飼料の除去等、施設全体を清潔に保つ。また周辺の草木の駆除やハエの駆除を行うことも重要です。
以上のことから、牛の行動を観察し原因を考えた上で、適当な方法を用いていくことでバンチングが改善されていきます。上記した通りバンチングが起きているということは、何かしらのストレスを牛群として感じているというサインです。快適な環境を作ることでストレスを軽減し、より良い牛群管理を行っていきましょう!