DCADは乳牛における周産期の低カルシウム血症の予防法として一般的になっている
その中でカルシウム濃度は高い方が良いのか、低い方が良いのか?
結論はまで出ていない
最近の論文から
Amundsonら(2018)はDCADを平均でマイナス18.2mEq/100gDMにし、カルシウム濃度を低(0.45%DM)、中(1.13%DM)、高(2.02%DM)で比較した。研究ではEDTAを使い低カルシウム血症を強制的に作り、カルシウム濃度を観察した
EDTA challenge HC
高カルシウムの群がその他の群よりもカルシウム濃度を維持することができ、またより多くのEDTAをカルシウム濃度を下げるために必要だった
またこの研究の中では測定キットの違いやイオン化カルシウムと総カルシウムとの比較もされ、
測定方法も考慮して評価する必要があると教えてくれた
Santosら(2019)はすでに投稿された科学論文42本を使い、メタアナリシスという手法で分析した(メタアナリシスは、最も質の高いエビデンスを私たちに示してくれるという)
その結果の中でカルシウム濃度について先の論文とは相反する結果を示した
Santos Meta
また一般的にDCADと同じく低カルシウム血症の予防のためにマグネシウム濃度を高くするが、
この結果ではマグネシウム濃度を高くすると血中カルシウム濃度が低下するという結果も。
いまだ結論のつかないこの分野
現場では明らかに低カルシウム血症、特に臨床症状を伴う乳熱の発生は減っているが、
”なぜ”なのかの疑問を持ち続け、”どうやったら”の予防への探求は継続しなければならない